The Victorian Studies Society of Japan
 

会長挨拶:川端康雄

 みなさま、新年度が始まり、お忙しい日々でいらっしゃるかと拝察します。昨年2015年11月21日に開催された全国大会にて、第四代目の会長に承認され、本年4月1日付で就任いたしました。一言ご挨拶申し上げます。

 日本ヴィクトリア朝文化研究学会が正式に発足したのは2001年11月ですので、今年度で創立15周年を迎えるということになります。初代会長の松村昌家先生と第二代会長の荻野昌利先生は英文学専攻、第三代会長の井野瀬久美惠先生は歴史学、そしてわたしは英文学ということで、会長職がふたたび英文学畑になったと言うことができるのかもしれませんが、もとより本学会がカヴァーする学術研究領域群は(一括するなら人文学humanitiesにほかなりませんが)文学、歴史学、哲学、社会学、経済学、芸術学など多岐にわたり、会則にあるとおり、それぞれの専門領域をとおしての研究を基礎としながらも、その領域の制約にとらわれずに「広い視野からの学際的研究によりヴィクトリア朝イギリスについての理解を深めること」を目的としております。歴代の会長が心を砕いてこられたように、生産的かつ有意義なかたちで領域横断を図り、文化研究の自由闊達な広場を組織運営していきたいと思っております。

 挨拶文でこう申し上げるのは残念ながら、わが国の高等教育における人文学の置かれた危機的状況は悪化の一途をたどっています。この四半世紀に推進された教育および学問研究の場での新自由主義政策はここ数年いっそう先鋭化し、市場原理の観点から「実利性」の薄い分野、科目、主題の「廃止・縮小」が図られています。同時に人文系に限らず、教育・研究の場での新種の順応主義の強要(および「学問の自由」の制約)は戦後例をみないほど執拗なものであり、現状の息苦しさは多くが共有しておられるのであろうと想像します。

 井野瀬前会長は2002年の会長就任時の挨拶文で「ヴィクトリア朝文化」が「ヴィクトリア女王の治世(1837〜1901)のみを対象とするわけではないという意識」をもつ必要性を説いておられました。たしかに20世紀にも「ヴィクトリアニズム」と称せる動きは多方面でつづいていたわけですし、21世紀のいまもなお、ヴィクトリア朝文化の要素は現代社会のさまざまな層に深く浸透していると思われます。上記の窮状の打開策もふくめ、現下の国内外のさまざまな問題を考えるための重要なヒントがそこには潜んでいるような気がしてなりません。つまるところ、本研究会の目的をわたしなりに言い換えるなら、ヴィクトリア朝文化という旧きを温ねて新しき知見を得るとともに、みなが共に分かち合える新しき文化の創造と育成に寄与する、ということになるのではないかと思う次第です。

 微力ではありますが、新任務に専心努力いたす所存でおります。今後とも一層のご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。今年の秋の大会は11月26日(土)、筑波大学東京キャンパス文京校舎にて開催される予定です。みなさまにお目にかかれますことを楽しみにいたしております。

2016年4月吉日

川端康雄(日本女子大学文学部)



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