The Victorian Studies Society of Japan
 

会長挨拶:中島俊郎

 みなさま、新年度が始まり、あわただしい日々をお過ごしのことと拝察します。昨年2019年11月23日に開催された第19回全国大会にて、第5代目の会長に承認され、本年4月1日付で就任いたしました。一言ご挨拶を申し上げます。

 新型コロナ感染症は世界規模での広がりをみせ、生活の隅々にまで影響を及ぼしています。本会の会員の方々も不自由な日々を強いられていらっしゃるのでは、と危惧しています。心からお見舞いを申し上げます。長い戦いが予想されますが、一日も早く正常な日々がもどることを祈念する次第です。

 昨年、本会の創立者、松村昌家先生がご逝去されました。先生はディケンズを中心にしたヴィクトリア朝文化研究の第一人者でしたが、本学会が硬直することなく進展していくことを第一に願っておられました。あれほど深くて豊かな学識をそなえながらも先生は研究者一人が蓄積する知識量などたかがしれたものだとよく口にされて、学会が活性化し、自由な意見の交換から生まれる柔軟な思考、闊達な学問知を何よりも尊重されていました。

 知識は蓄積するものではなく、相対化されて初めて力をもつ流動的なものであることは改めて確認する必要もないでしょう。今、当学会では総力をあげて、『ヴィクトリア朝文化事典』の編集に励んでいます。事典にはひとつでも多くの事項を拾いあげる必要があるでしょうが、それ以上に文化現象を説明、記述するのに機能的でありたいと考えています。項目と項目をクロスレファレンスしていくことで、ヴィクトリア朝文化のより豊かな側面を照射できるようにしたいものです。

 自由闊達と言えば、学会誌、研究発表会、シンポジウムなどの在り方について会員皆様のご意見を幅広く反映できるようにしていかねばならないと思います。国内外の他学会との交流を考えてもいいのではないか、とも期待しています。人文系の危機が叫ばれて久しいですが、このような時期だからこそ学会からの発信が重要な意味をもつと信じます。知見を寄せ合い、一団となってさまざまな障害を越えていきましょう。

 会員の皆様がより意義ある研究活動を推進できるように、微力ではありますが、私自身の力を傾注する所存です。ご指導ご鞭撻を心からお願い申し上げます。この秋に開催が予定されている東京大学駒場キャンパスでの学会でお目にかかれるのを楽しみにしています。

2020年4月吉日 中島俊郎(甲南大学名誉教授)



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